
ドアや扉の取り付けに必要な兆番。ベランダ木工時代はうまく出来なくて、仕方なく見せてもおかしくないようなカントリー風の兆番を表から取り付けていました。
ベランダ木工を卒業してからも、この作業は正直好きではありませんでしたが最近ままごとキッチンを作るようになってからは他の作業と同じく何も考えずに淡々と出来るようになりました。
訓練校時代も兆番のつけ方は習っていないので、特に決まった方法があるわけではないのでしょう。人それぞれ自分に合った方法があるのだと思いますが、その方法のひとつとして私が行っている方法を紹介いたします。
もっと簡単な方法があるかもしれませんが、あくまでも、ひとつの方法として参考になればと思います。
必要な道具
さし
定番の道具です。正式な名前は知りませんが私達の間では「15センチ」と呼ばれています。
電動ドライバ
以前は兆番の小さなネジをつけるのにも普通のドライバを使っていてずっと欲しかったミニドライバを先日買いました。サイズ、とてもゆっくりな回転、締め付けの弱さ、兆番の極小のネジを付けるには最適です。持ちずらいのとビットがすぐに抜けるのがXですが気に入ってます。
ハンドドライバ
電動で締めた後に必ず軽く増し締めを行います。インパクトドライバでも最後は必ず手で増し締めをしましょう。
後は普通のシャーペン、普通のきりです。
1.扉作り
まず本体に取り付ける扉を作ります。これが非常に重要なポイントでこの段階で完璧に隙間を計算された扉を作っておかないといけません。手かんなが使えれば微調整は取り付け後にでも可能ですが、そうでなければ、ここでの作業を完璧におこなってください。本体はなかなか完全な90度にはならないので本体の角度にあった扉をつくります。隙間はあまり開けすぎないように注意してください。上の写真はパイン材の板(巾27cm)を扉にしていますので隙間は板の伸縮を考えて少し多めにとっています。
2.兆番つけ
基本的に兆番を取り付ける部分のみ掘り込むのですが隠れてしまう部分なので上の写真をご覧いただければ判りますがテーブルソーを往復させてかき取りました。こうすることで深さが一定になります。トリマーなどで行う場合は専用の冶具を作って深さが一定になるように注意してください。
3.兆番つけ
掘り込む深さは兆番を置いてみて表面から上に飛び出した分だけ本体と隙間が開きます。上の写真では兆番の板の厚みプラス少々の隙間分を開けるように深さを設定しています。
4.兆番つけ
親指側をしっかりと扉に押し付けてセットします。
5.兆番つけ
ここでのポイントは兆番のネジ穴の中心に下穴をあけます。穴がずれるとネジのセンターがずれて兆番の位置がずれ本体に扉を付ける際、前後方向に位置がずれる事になり微調整が必要になります。ただ穴の真ん中にネジを付けるだけですが、これが難しくて重要です。どれだけ慎重に穴のセンターに錐をいれても木の繊維によってずれてしまいます。たとえばどちらかに1ミリ下穴がずれたとすると、ずれた方向にネジを斜めに入れてネジの皿(頭)が最終的に兆番の穴のセンターにくるようにすると兆番のずれはなくなるか、最小限に抑えられます。
6.扉取り付け
扉と本体の隙間ですが兆番側以外の隙間はできるだけ同じにした方が見た目に美しいです。たとえば兆番の反対側(取っ手が付く側)の隙間が2ミリだとすると上下も各2ミリに合わせます。実際にスケールをあてて計る必要はないと思います。見た感覚です。2ミリという数値は説明しやすいので2ミリとしました。
7.扉取り付け
説明上、隙間を2ミリに設定したので上の写真の隙間は4ミリあります。
8.扉取り付け
上下とも2ミリにするために2ミリの厚さのものを扉の下にひきます。写真はコルクのシートを使用していますが厚さが均一であれば何でもかまいません。
9.扉取り付け
さしの当て方と写真を撮った方向が悪くて4ミリに見えますが、扉表面から兆番のネジ穴のセンターは約4.5ミリです。
10.扉取り付け
名称は分かりませんが写真の15センチのさしに付ける道具ですが、位置決めをする際に非常に役立ちます。ホームセンターで入手でき、意外と高くて¥500くらいだったと思います。5ミリで止めてありますがシャーペンの芯の太さ分がありますので約4.5ミリにマークできます。
11.扉取り付け
本体側に兆番の穴の位置に4.5ミリのしるしを付けます。
12.扉取り付け
4.5ミリの線と兆番の穴の位置を合わせ穴のセンターを決めます。穴の位置と目の位置を合わせるようにしてずれないようにしましょう。この時点で全ての穴の位置決めをするのではなく各1個づつにします。
13.扉取り付け
ここでも下穴のセンターは重要です。4.5ミリの線のちょうど真ん中に開けます。横方向なのでネジが締めにくいので多少大きめの下穴を開けたほうが後の仕事がしやすいです。
14.扉取り付け
1箇所だけネジを軽めに取り付けました。同様にもう1個の兆番も1箇所だけネジをつけます。
15.扉取り付け
ここで扉の位置の確認をします。前後、上下、各方向から確認します。今回は木の繊維に邪魔されることもなく1回で正確な位置に収まりました。微調整が必要な場合は2本目のビスで修正する方向に穴の位置をずらして下穴を開け、すでに取り付けた1本目のビスをゆるめてからビスを入れ、しっかりと締めた後にさきほどの1本目のビスを本締めします。ビスが効かなくなりますので何度も何度も微調整はできません。基本的に修正は1回です。
16.扉位置
前後方向にずれていないか確認します。
17.扉位置
前上も下も前後のずれはありません。
完了
これで扉付けは終了です。
とにかくここでは穴のセンターをいかに正確に開けるかが重要なポイントです。